次世代のリーダーたちへ
株式会社ゼンショーホールディングス創業者の小川賢太郎です。
ゼンショーは、株式会社の力で「世界から飢餓と貧困を撲滅する」という企業理念を掲げ、1982年に資本金500万円で設立した会社です。これまで理念の実現に向け事業を成長、発展させてまいりました。現在、世界中に1万店以上の外食や小売の店舗を展開しています。
今般、創業から掲げてきたその理念を進化させ、「食を通じて、人類社会の安定と発展に責任をおう」としました。背景にあるのは強い危機感です。世界はより不安定さを増すばかりで、一刻の猶予も許されないところまできています。
世界各地では今なお紛争やテロが絶えません。先進国にあっても政治と社会が「分断」に苛まれ、公正な選挙といった基本的な民主主義の仕組みさえ崩壊しつつあります。
世界人口は増えていますが、飢餓線上にある人々は国連統計でも約10億人といわれています。特に紛争地域で多いとされています。貧しい国においては、若者たちは食べるために兵隊になって戦場に赴いています。
「衣食足りて礼節を知る」といわれます。食べられるようになれば誰も戦争には行かないでしょう。この、世界中の誰もが満足に食べられるようにするという物質的な基盤整備は、ゼンショーが責任をもって成し遂げていきます。
一方で、この混迷を打破するには各分野において強いリーダーシップを発揮できる多彩な人材が必要です。
世界にはいろんな宗教や考え方があります。この考えの違いが争いを生み出す大きな要因になっています。そうした対立する概念を二律背反に捉えるのではなく、多様な価値観を尊重しながら、包括的な視点で物事を捉え直すことができる、そんな次世代のリーダーを数多く育成していくことが急務であると私は考えています。
当財団は、これから大学への進学を目指す方々に対する奨学援助を通じて、政治・経済・文化・教育など様々な分野においてリーダーシップを発揮し、世界各国の安定と発展に貢献することができる人材の育成に寄与することを目的としています。
どんな分野でも構いません。日本からアジア、ひいては世界を牽引するリーダーになるべく、これから勉学に励もうとする方々にこの奨学金を活用してほしいと願っています。